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「尺には尺を」新国立劇場 [舞台]




  • 【作】ウィリアム・シェイクスピア
  • 【翻訳】小田島雄志
  • 【演出】鵜山 仁
  • 【美術】乘峯雅寛
  • 【照明】服部 基
  • 【音響】上田好生
  • 【衣裳】前田文子
  • 【ヘアメイク】馮 啓孝
  • 【演出助手】中嶋彩乃
  • 【舞台監督】北条 孝


演出 鵜山仁

キャスト

  • 岡本健一
  • 浦井健治
  • 中嶋朋子
  • ソニン
  • 立川三貴
  • 吉村 直
  • 木下浩之
  • 那須佐代子
  • 勝部演之
  • 小長谷勝彦
  • 下総源太朗
  • 藤木久美子
  • 川辺邦弘
  • 亀田佳明
  • 永田江里
  • 内藤裕志
  • 須藤瑞己
  • 福士永大
  • 宮津侑生



 舞台には木の長椅子が二つと左右にはゴミが集められている場所がある。手前には水をたたえた池がふたつ見える。奥には赤黒く大きな平面の建物があり、窓と扉が開くようになっている。
 アンジェロという男があまりに真面目で法を遵守しようとするために、優秀ではあるが存在自体が孤立していることが浮き上がってきた。一瞬にして彼の仲間内での彼の立ち位置や人柄などが入ってきた。これは演技力なのだろうか。
 同じ裁く立場の人々や個性豊かな市井の人々は杓子定規に生活しているわけではなく、ある程度は清濁併せ飲んでいるようだが、アンジェロには許しがない。大目に見るということを知らないらしい。
 だがアンジェロがイザベラに魅了され、その操を奪おうとした後、ゴミの集まった場所で蹲る。厳格で四角四面の彼が正しい道から逸れて、汚れに墜ちた表現の演出は素晴らしい。
 なにせイザベラは修道女見習いであり、その清純さ、神聖さ、それでいて物怖じせずに自分の意見を言う女性なのだ。

 登場人物の女郎屋はじめ、すべての人々が個性的で、台詞もシェイクスピア独特の難しいもので、もはやすべての人が主役のような働きをされていると思った。

 ベッドトリックの直接的な場面は原作には描かれていないが、恐らくはアンジェロの家で神父に化けた公爵とイザベラ、マリアナが扉を通っていくとそこにベッドが置いてある。これもスマートな演出。
 公爵はイザベラの兄が死刑を免れたことを告げず、アンジェロがマリアナと一夜を共にしたことがばれた後、公爵は二人に結婚式を挙げるように促す。そして戻ってきたふたりにアンジェロの死刑を宣告する。
 助命を求めるマリアナ。一緒に嘆願して欲しいと頼まれたイザベラは迷うが一緒になってアンジェロの命を救って欲しいと公爵に願う。
 マリアナの夫を思う大きな愛。そしてイザベラの敵ともいえるアンジェロへの許し。
 兄は生きていたし、アンジェロも許された。

 最後に大団円かと思われたが、公爵が唐突にイザベラに半ば強引にふたりが結婚することを宣言する。
 確かイザベラはこれから神に仕える身だったはず。果たしてこれからどうなっていくのでしょうか。公爵との結婚ならあり?
 公爵がちまたの男に言われていたとおりの女たらしではないということはあるのでしょうか。
 アーメン!

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